第九回八咫烏杯結果発表
漫画誌ハルタの新人賞「八咫烏杯」。5周年となる第九回は、8名の作家が受賞しました。
漫画家としての道を歩み始める、個性豊かな新鋭たちの活躍にどうぞご期待ください!
(受賞作品は2025年5月15日発売のハルタ124号より順次掲載予定です。追って、当サイト上でも公開いたします)
受賞作品
あらすじ
魔法戦争が始まって5年。かろうじて平穏が保たれていた学園での生活にも、不穏な影が差し込んできて――。ほろ苦いファンタジー青春譚。
編集者からの選評
シンプルな線で描かれるキャラクターが可愛らしく、表情から感情が強く伝わってくる点が素晴らしかったです。戦争という大きな外的要因の中でどう生きるか、という視点にも現代性がありました。
作者コメント
大きな魔法帽をかぶった学生たちをたくさん描きたいと思っていましたが、結局みんなあまり帽子をかぶっていませんでした。
あらすじ
ヤドリギという寄生生物がはびこる終末世界。そこで生きる少年リドとアンセルはある日、ひとりの少女と出遭う。初対面のはずなのに、彼女はふたりを知っている様子で…。
編集者からの選評
冒頭から絵で魅せる事に全力なのが良い。丁寧な線で描かれる見開きとか物語の転換点での動物の描写とか。ファンタジーだから目で楽しみたいですよねやっぱり! 男子バディーとお姫さま女子というキャラクター3人も安定感があり、読みやすかった。
作者コメント
草花が好きです。ヤドリギの習性を調べた所、意外とパラサイトだなと思ったのがきっかけで描いた作品です。見て頂き感謝します。
あらすじ
盗賊に襲われ、相棒のハーピーを奪われた兵士ディア。そこへ現れたのは怪しい魔道具商人! 彼はハーピー救出に手を貸してくれると言うけれど!?
編集者からの選評
セリフが生き生きしていて、会話にとにかく引き込まれました。キャラの喋りが良いと日常描写に親しみが沸きますが、それでいて世界観はダイナミック。読者を意識することはできているので、もう描いていくだけでしょう! 絵にも色気を感じます。
作者コメント
人外って描いたことないなと思い、鳥の女の子を描いたら自分史上最高のヒロインが誕生しました。彼女の豊かな表情に注目してください!
あらすじ
スーツケースは思う。「無機物になるなんて私は前世でどんな業を背負ったのだろう?」その答えはすぐそばにあった。
編集者からの選評
無機物を主人公にした発想と、それを冒頭2ページ目で見せる掴みが良かった。動けないキャラクターが見せる画面は淡々としながらも、会話の奇妙さで十分楽しめました。予想外のラストも設定を活かしたドラマがあり構成力の高さを感じます。
作者コメント
就活がうまくいかず、落ち込みながら帰りの飛行機の中で考えていた話です。あれも無駄じゃなかったなぁと思うと嬉しいです。
あらすじ
初めての出張なのに目的地までの交通手段は「傘」!? 強風でバランスを崩したり、鳥に襲われたり、傘での移動は困難ばかり!
編集者からの選評
何気ない会話に非日常なセリフを差し込む工夫。先輩と新人による「出張の交通手段が傘だったら」を軸に、アイディアを繰り出す構成。登場人物のコミカルな掛け合いなど、読者へのサービス精神をふんだんに感じました。
作者コメント
ありがとうございます! 妖怪がごちゃごちゃ出てくるシーンは描いてて楽しかったです。日常にひそむ不思議とか好きです。
あらすじ
とんでもなく顔の良い転校生がやってきた。その日から、勉強一筋だった僕の頭は、「彼」のことでいっぱいに――。
編集者からの選評
思春期の鬱屈と、儚くも強烈な輝きが同居している瑞々しい作品でした。豊かな感情描写に、現実味のある台詞。よく人を観てきている方だと思います。美しい男を美しく描けているのも◎! 早速次回作、描きましょう。
作者コメント
この話は私自身が受験生だった時に思いついたものです! 今回はシリアス調だったので次はおもろいのを描きたいです。
あらすじ
東ミチルが朝起きると、ペットの亀が脱走していることに気づく! 近所の川を捜索する中で出会ったのは――? 社会からはぐれた者たちのガールミーツガール。
編集者からの選評
トボけた印象のセリフで楽しませつつも、日常の一幕を見せるだけに終始せず、人生の転機となりうる輝く瞬間を描いてくれている。コマ割りも読みやすいし、「ここぞ!」というシーンを絵で魅せる演出も上手い。印象に残る表情がいくつもありました。
作者コメント
変人と変人のコンビが好きなので、そんな2人を描いた漫画で賞をいただけて嬉しいです! ちなみに亀は飼ってないです。
あらすじ
目の前にいるのは世間を騒がす連続殺人鬼。死を覚悟した私に殺人鬼は言った「命乞いなら聞いてあげるよ」。
さてどうしよう――。
編集者からの選評
緊迫のシーンから入って説明は後で。冒頭から読者を掴んでやるぞ、という意気込みを感じました。全てを語らず、読者に読み取らせる余白の残し方も巧み。特に感情を表現する時に、目をアップにしたり、あえて顔を隠したりする工夫が上手い。
作者コメント
題材が不穏ですが血腥(ちなまぐさ)くなり過ぎないハートフルなお話を目指しました。受賞出来て本当に光栄です。これからも活動頑張ります!
★★★★★★★★★★★★★★
以上、第九回八咫烏杯受賞作品でした。 本誌に掲載後、本サイトでも作品が読めるようになります。お楽しみに!
開催履歴
過去の受賞作品は下記のページにてお読みいただけます。歴代の作品に興味を持った方は、どうぞ第一回からさかのぼってお楽しみくださいませ。読み応えたっぷりの力作揃いです!
以下のページにて、過去の受賞者の確認と受賞作品の閲覧ができます。
第一回 八咫烏杯(2021年4月15日発表)

第二回 八咫烏杯(2021年10月15日発表)

第三回 八咫烏杯(2022年4月15日発表)

第四回 八咫烏杯(2022年10月15日発表)

第五回 八咫烏杯(2023年4月15日発表)

第六回 八咫烏杯(2023年10月15日発表)

第七回 八咫烏杯(2024年4月15日発表)

第八回 八咫烏杯(2024年10月15日発表)
